面倒くさがりの恋愛
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 アフターファイブ、花の金曜日は昔の言葉。

 私たちの年代じゃ使うことはないけれど、それでもそれは私にとても似合った言葉だと言われた。

 昼は仕事でパソコンを使うから、ドライアイ対策に普段は眼鏡。だけれど夜はコンタクト。

 コンタクトにすると、お化粧もしやすいから軽く化粧をする。

 お化粧をすると、どこかワクワクするから、仕事帰りの服装も少し軽めで華やかなものになりやすい。

 たったそれだけで印象が変わるから、どこか何だか面白い。

「七海は相変わらず化けるよね」

 呆れたように言う紗理奈に、にんまりと笑った。

「わざと地味にしてるわけじゃないもんね。それに、会社でお洒落する必要ないし」

「いや。だからって、ワザワザ着替え用意する人もなかなかいないでしょうよ」

「今日は紗理奈とご飯約束していたからでしょう」

 とりあえず乾杯して、お互いに近況を話し合った。

 お互いに新入社員と呼ばれる時期は過ぎて、後輩もしっかりしてきた頃合いで、でも、任せられる程ではなくて、愚痴混じりに話は尽きない。

 そのうち仕事の話は恋バナになるのだけれど。
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