面倒くさがりの恋愛
「あんたはいつまでも彼氏作らないわね。会社にいい男はいないの?」

 紗理奈の言葉に、首を傾げる。

「私は会社で恋愛しようなんて思わないだけかな」

「それだと社会人に出会いなんてないでしょうが」

「だって、彼氏が近くにいるって面倒くさいの一言じゃない。別れた時とか面倒くさいし」

「いやいやいや。別れを前提に考えるからでしょうが」

 まぁ、彼氏がいらないわけじゃないけど、近場の男もいいかなぁ。

 前の彼氏は、そもそも束縛が酷くて疲れたし。

 あんな風になるのなら、近くの……ましてや同じ職場の人となんか、絶対に嫌だな。

「そうすると、私の出会いは飲み会だけか」

「飲み会で会う男なんてもっと面倒じゃないの?」

「まぁね~。ま、そのうちお見合いでもするよ」

「夢がないなー」

「ねえねえ。お姉さんたち、彼氏いないの?」

 急に声をかけられて、紗理奈と一緒に顔を上げた。

 声の主は隣の席の二人連れ。

 ニコニコ笑顔の男の子。結構整った顔だし背も高そう。

 スーツを着ているから、仕事帰りの一応社会人かな。

 だけどスーツを着ていると言うよりは、スーツに着られているという印象で……まだ新人一年生って感じ。

 年下は好みじゃないな。

 思って紗理奈を見て固まった。

 目がハートマークだわ。

「一緒に飲みませんか~?」

「え。どうしようか、ナツ?」

 どうしようか……じゃないよね。

 いきなりナツミをナツと呼ぶからには、ターゲットをロックオンしたよね?
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