面倒くさがりの恋愛
「だって、私は好かれる要素なんてないもん」

 たくさんいっぱい、失礼なことして、失礼な事を言って。

「あーもう。あんたたまに子供みたいになるー。告られたんだから、どっか好かれてるのは間違いないでしょ」

「だけど、割りきりの関係なんて嫌」

 暖かかったけど、心地良かったけど、それだけなんて嫌だ。

「そりゃ、私だってそんな宣言されたら嫌だわよ」

「だから嫌い。面倒事も嫌い。男なんて嫌い」

「はいはい、飲むか」

「飲むー」

「あんたって、基本甘えん坊の癖に強がりだから……」

「うるさいー」

 それから二人でいいだけ飲んで、空が青く明るくなって来た頃に、お店を出た。

「……眠い」

「うん。眠いね」

「帰るか……」

「始発で帰る?」

「んー……」

 目の前の石段に座ると、何だかふわふわしてきた。

「え。ちょっと……七海、七海!」

「ん?」

「眠らないでよ。楠くん呼んだから」

「え。いらないよー」

「始発まで持たないでしょ。あんた」

「持つ。大丈夫。起きる」

「やっぱり寝てたんじゃないか」

「まぁねー」

「でも呼んじゃったから、待ってようか」

「黙ってたら眠い……」

「あーもー……いいわよ。寝てて」

 お言葉に甘えて目を瞑る。

 目を瞑ると、色んな事を考える。

 でも酔っぱらいだから、あまり深くは考えられないけど……
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