面倒くさがりの恋愛
4
*****
「こちら、よろしいですか?」
お昼休み。今日はB定食のトレイを持って、生嶋さんに向かって言った。
生嶋さんは目を丸くして、お箸を持ったまま固まっている。
「……どうぞ」
言われて、生嶋さんの目の前にトレイを置いた。
お箸を割って、綺麗に割れたのにニンマリすると、小さい笑い声が聞こえて来た。
「なんですか?」
「いや。君は会社で話かけてこないと思っていた」
「そうですね。以前、妙な噂を流されて、とっても面倒くさい事になった経験がありますし」
小鉢を手に取ると、生嶋さんの表情が変わった事に気がついた。
「ああ……」
何かを察して納得している。
「なら、これは目立つんじゃないかな? 高嶺達と集まっている時ならともかく、人事の俺と、経理の君とじゃ」
トントンと指でテーブルを叩いて、生嶋さんは首を傾げている。
「……いいんです。生嶋さん、結構モテるから」
「え? 俺が? まさかでしょ」
鼻で笑う生嶋さんを見て、鋭いけれど、鈍いんだと気付いた。
いつも職場では真顔で、とても真面目に働いている生嶋さん。
だから話しかける女子社員は少ないけれど、笑った顔が可愛いと、実は密かにギャップ萌えされていることを知らないらしい。
今まで社内の噂話はスルーしていたけど、気になり出したら止まらない。
黙ってもくもくと食べていたら、水を飲んでいた生嶋さんが、楽しそうに笑っている。
「気になるなら、ハッキリ言葉にしてくれてもいいのに」
酔っぱらいになって、生嶋さんにデートに連れていかれた翌日。
紗理奈から安否確認の連絡がきた。
まずはごめんなさいと謝られた。
それから、私が人間不信で、強がりで、言っていることが真逆で、甘えん坊だと喚いた事。
……人間不信までは行っていないのですが。
それらを総合して考えた生嶋さんが『七海ちゃんは、俺のことが好きなの?』と、ぽろっと聞いてきたのがムカついて『そんなことは自分で聞け』と、生嶋さんのお腹に膝げりをいれたらしい。
「こちら、よろしいですか?」
お昼休み。今日はB定食のトレイを持って、生嶋さんに向かって言った。
生嶋さんは目を丸くして、お箸を持ったまま固まっている。
「……どうぞ」
言われて、生嶋さんの目の前にトレイを置いた。
お箸を割って、綺麗に割れたのにニンマリすると、小さい笑い声が聞こえて来た。
「なんですか?」
「いや。君は会社で話かけてこないと思っていた」
「そうですね。以前、妙な噂を流されて、とっても面倒くさい事になった経験がありますし」
小鉢を手に取ると、生嶋さんの表情が変わった事に気がついた。
「ああ……」
何かを察して納得している。
「なら、これは目立つんじゃないかな? 高嶺達と集まっている時ならともかく、人事の俺と、経理の君とじゃ」
トントンと指でテーブルを叩いて、生嶋さんは首を傾げている。
「……いいんです。生嶋さん、結構モテるから」
「え? 俺が? まさかでしょ」
鼻で笑う生嶋さんを見て、鋭いけれど、鈍いんだと気付いた。
いつも職場では真顔で、とても真面目に働いている生嶋さん。
だから話しかける女子社員は少ないけれど、笑った顔が可愛いと、実は密かにギャップ萌えされていることを知らないらしい。
今まで社内の噂話はスルーしていたけど、気になり出したら止まらない。
黙ってもくもくと食べていたら、水を飲んでいた生嶋さんが、楽しそうに笑っている。
「気になるなら、ハッキリ言葉にしてくれてもいいのに」
酔っぱらいになって、生嶋さんにデートに連れていかれた翌日。
紗理奈から安否確認の連絡がきた。
まずはごめんなさいと謝られた。
それから、私が人間不信で、強がりで、言っていることが真逆で、甘えん坊だと喚いた事。
……人間不信までは行っていないのですが。
それらを総合して考えた生嶋さんが『七海ちゃんは、俺のことが好きなの?』と、ぽろっと聞いてきたのがムカついて『そんなことは自分で聞け』と、生嶋さんのお腹に膝げりをいれたらしい。