面倒くさがりの恋愛
2
*****
「信藤さん。去年の人事の現金出納帳の控えを知らない?」
伝票整理していたら、かかった声に顔を上げる。
「まだ総務管理になっていないと思うのだけれど、どこにも見当たらないの」
そう言っているのは経理部のお局様。
そんなに怖い人じゃないんだけれど、注意の仕方が嫌味なので、そう呼ばれて嫌煙されてる高嶺さん。
「去年の……は、確か研修資料に使うって主任がファイルごと持ち出したはずです」
「主任……どうして、あの人は持ち出したら帳簿に記入しないのかしら。しかもどこをほっつき歩いてるの」
席にいない主任にブツブツ言っている高嶺さん。もはや嫌な予感しかしない。
主任と高嶺さんの嫌味の応酬を聞く身にもなって頂きたい。
「必要ですか?」
「人事が必要みたい。去年の出納帳なんて、何に使うんだか」
「私が行きましょうか?」
高嶺さんが行ったら、その場を凍りつかせるだろうし。
「……お願いできるかしら? それから人事の生嶋くんに持っていってくれる?」
行きたくなーい。
でも、今さら言えなーい。今さらそんなこと言ったら、私に高嶺さんの雷が落ちる。
「ワカリマシタ」
にっこりと請け負って部署をでた。
この時間帯なら、主任はきっと喫煙室だろう。
予想をつけてから向かうと、案の定、ガラス張りの喫煙室の向こうに主任の姿……と、会いたくないけど会いに行かないといけない生嶋さんの姿。
「主任……」
喫煙室のドアを開けて声をかけると、同時に振り返る主任と生嶋さん。
「おお。どうした信藤」
「去年の人事の現金出納帳、主任がお持ちでしたよね?」
「ああ。まだ持っているが。何するんだ、そんなもの」
私は不要なんですが……
「それ頼んだのは俺だな。お前が持ってるの?」
生嶋さんが煙草を揉み消して片手を上げる。
「お前が必要なのか。なら、少し待ってくれ。取りに行く」
「こっちが取りに行こうか?」
「そうしてくれると楽だな」
何故か三人で経理部に向かうことになった。
「信藤さん。去年の人事の現金出納帳の控えを知らない?」
伝票整理していたら、かかった声に顔を上げる。
「まだ総務管理になっていないと思うのだけれど、どこにも見当たらないの」
そう言っているのは経理部のお局様。
そんなに怖い人じゃないんだけれど、注意の仕方が嫌味なので、そう呼ばれて嫌煙されてる高嶺さん。
「去年の……は、確か研修資料に使うって主任がファイルごと持ち出したはずです」
「主任……どうして、あの人は持ち出したら帳簿に記入しないのかしら。しかもどこをほっつき歩いてるの」
席にいない主任にブツブツ言っている高嶺さん。もはや嫌な予感しかしない。
主任と高嶺さんの嫌味の応酬を聞く身にもなって頂きたい。
「必要ですか?」
「人事が必要みたい。去年の出納帳なんて、何に使うんだか」
「私が行きましょうか?」
高嶺さんが行ったら、その場を凍りつかせるだろうし。
「……お願いできるかしら? それから人事の生嶋くんに持っていってくれる?」
行きたくなーい。
でも、今さら言えなーい。今さらそんなこと言ったら、私に高嶺さんの雷が落ちる。
「ワカリマシタ」
にっこりと請け負って部署をでた。
この時間帯なら、主任はきっと喫煙室だろう。
予想をつけてから向かうと、案の定、ガラス張りの喫煙室の向こうに主任の姿……と、会いたくないけど会いに行かないといけない生嶋さんの姿。
「主任……」
喫煙室のドアを開けて声をかけると、同時に振り返る主任と生嶋さん。
「おお。どうした信藤」
「去年の人事の現金出納帳、主任がお持ちでしたよね?」
「ああ。まだ持っているが。何するんだ、そんなもの」
私は不要なんですが……
「それ頼んだのは俺だな。お前が持ってるの?」
生嶋さんが煙草を揉み消して片手を上げる。
「お前が必要なのか。なら、少し待ってくれ。取りに行く」
「こっちが取りに行こうか?」
「そうしてくれると楽だな」
何故か三人で経理部に向かうことになった。