面倒くさがりの恋愛
 話ながら歩く巨人達の後ろを、一歩離れて付いていく。

 主任と生嶋さんて仲が良いのかな。

 タメ口で話をしてるよね。

 ぼんやりしていたら、主任がちらっと振り返る。

「悪いね信藤」

「え? 何がですか?」

「いや。高嶺に頼んだ話らしいから、気を使ってくれたのかと思って」

「いえ。そんなことはないです」

「またまた~」

 軽い調子の主任に、へらっと笑うと生嶋さんの真顔と目があった。

「……どこかで会ったことがあるような気がする」

 いや。会社で何度もお会いしてますが。

「何をお前、使い古された常套句みたいな事を言ってんだよ。経理部で何度も会ってるだろうが」

「……そうか?」

 首を傾げる生嶋さんを眺めてほっとする。

 気がついていない、気がついていない。

 部署に戻ると、そそくさと席に戻って、伝票整理を再開した。

 面倒には関わらない。
 まして、社内で彼氏を見つけるつもりはさらさらない。

 確かに私は自分勝手だけど、オフィス内のゴタゴタだとかでよく聞くじゃない。

 別れた彼氏と同じ会社で、別れた後に変な噂が流れただとか、付き合っていた彼と、同僚と話をしていただけで喧嘩になっただとか。

 何だかとっても、耳の痛い話。

 もともと付き合っていた彼は、大学のサークルで知り合った。

 サークルと言っても、ただ飲み会をするだけの集まりだったけど。

 最初は友達のような関係から始まって、次第に仲良くなって。

 付き合うようになってから、おかしくなっていった。
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