ずっと、そばにいたい
一度も?
一度もって…。
私が何も言えないままでいると、先生は自分の右腕を左手でさすっていた。
たぶん、無意識に。
過去と何か関係があるのだろうか…?
「…一度も」
「そう、一度も」
「それって、今も昔もって意味ですか」
質問じゃなくて、ほぼ断言しているに近かった。
ちょっとビックリした顔をしてる先生を見て、やっぱり言わない方がよかったかなと思い直す。
「…驚いた、ここまで察しがいい子は初めてだ」
「そうですか」
「うん、君はだいぶ、頭の回転がはやいみたいだね」
良いことだと、先生はウンウンと頷いた。
「……」
「銀狼は悪いグループじゃないよ」
グループ。
「仲間思いなヤツばかりだ」
仲間。
「この学校の、いい支えだと思うな」
支え。
……要らないものばっかり。
なのに、何でみんなそんなに、賞賛するんだろう。
必要とするんだろう。
抱える荷物が多くなるだけじゃん、何でそんなに…。
……わかんない。