ずっと、そばにいたい
ハッ、ハッ、ハッ―――。
周りの視線が向けられてるのを感じる。
何度も人にぶつかりながら、転けそうになりながら走る。
―――マンションに着くまで走り続けた。
「ハァ、ハァ…」
エレベーターに乗り込み、最上階へ向かう。
…街中でなにやってんのよ、私は…。
エレベーターからおりて部屋の前に来たときにはもう、大分落ち着いていた。
ガチャガチャン…バタン。
「…フゥ…」
部屋に入った瞬間、足の力が抜けて、その場に座り込んでしまった。
…疲れた、すごく。
ここで寝よっかなぁ。
さすがにダメか、玄関は…。
「…明日、学校休もっかな」
と、呟いた瞬間、ポケットにあった携帯が鳴った。
誰だろ…?
見ると、『林田 真昼(はやしだ まひる)』と表示されていた。
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明日、絶対学校来てねぇ~♪
休んだら絶交~ww
じゃあまたね(^^)/~
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「…はぁ」
この子は全く…。
そう思いつつ立ち上がり、靴を脱いでリビングに向かう。
扉を開けると、そこにはひどく殺風景な部屋があった。
ドカッとソファーに座る。
…大丈夫かな、あの人。
結構本気で投げちゃったけど、肩はずれてないよね?
後頭部切ったりしてないよね?
びょ、病院にはちゃんと行くよね?
考えれば考えるほど、心配になってっくる。
敵討ち~っ!とか言って乗り込んでこないよね…。
「はぁ…疲れた」
とか呟いてみるけど、頭のなかはあの人のことでいっぱいだ。
…こんなの、私じゃない。
他人のこと気にするとか、どうかしてる。
う~ん、なんか頭いたい。
やっぱ今日調子悪いんだ。
そうだそうなんだ、うん。
「……」
自分の手首を見つめる。
『イヤだね』
――あの時、なんですぐにはなしてくれなかったんだろう。
笑ってるように見えたけど…楽しんでた、のかな?
だったら大分性格悪いよね、あの人…。
ああなって当然か。
…うん、そう考えたら楽になったかも。
「寝よ」
そう呟き、立ち上がる。
…できればもう、会いたくないな。
なんか気まずいし…。
あと、色々めんどくさそうだし。
そう思いながら、リビングの扉を閉めた。
パタン―――…。