クローバー♧ハート - 愛する者のために -
冷や汗をかきながらも、言葉に出来たのはそれだけ。
人に頼らずに、強く生きていくと決めていたのに情けない。
「……少し歩ける?この先に、私が勤める病院があるの」
女性は、私の腹部と足元に視線を落とし真剣な表情で聞いてきた。
病院ということは、看護師さん?
とにかく、このままじゃお腹の子に影響が出るかもしれない。
この子だけは、絶対に守りたい。
「はい……」
小さくうなずくと、彼女の肩を借りて起き上がりゆっくりと歩き出す。
そして、連れてきて貰ったのが“斎藤医院”
小さな個人病院だったけれど、手際よく院長が処置をしてくださったお蔭で
切迫早産は免れることが出来た。