クローバー♧ハート - 愛する者のために -

あの話とはもちろん“悠を引き取りたい”ってことだ。

本気なのか、それとも単に私の気を引きたくて、口走ってしまった言葉なのか

確認しておきたかった。



「あぁ、本気だ。冗談で言える話じゃない」



背筋を伸ばし、私の目をジッと見つめ返してくる裕貴。

あれは本気だったんだ。

どこかで冗談だって言ってくれるのを期待していた分、一気に気持ちが重くなる。



「……奥さんや、お父さんは知ってるの?」

「知ってる。元々、この話を言い出したのは由依からなんだ」



ウソ、でしょう――。

奥さん自身が、元カノである私の子供を引き取ろうと考えたなんて。

跡取り息子をせがまれて、仕方なくって事なんだろうか。

それにしても、そんな事って……信じられない。



「由依さんが、どうやって私のことを知るの?私とあなたが付き合っていたことは、誰にも言ってなかったはずでしょ?」



誰も知らない筈だ。ただ一人を除いては――。


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