クローバー♧ハート - 愛する者のために -

知らなかったで、何でも済ませられると思わないでよ。

今まで、どんな気持ちで過ごしてきたかなんて知らないでしょ。

生きるために、必死だったのに――。



「シングルマザーなんて、経済的にも苦しいんだろ?だったら、俺達が悠を引き取ることで生活も楽になれるんじゃないのか?」



何を言ってるの?今、なんて言った?

自分の耳を疑って、裕貴を凝視する。

そんな私を知ってか知らずか、彼の口は滑らかに言葉が次々と紡ぎ出す。



「だって、この前の男と付き合ってるんだろ?正直、邪魔になってるんじゃないのか」



邪魔?誰が誰の邪魔になるっていうの……。

次から次へと、すらすらと。へらへら笑いながら、言ってんじゃないわよ。

一回その口、医療用ホッチキスで閉じてやろうかしら。

膝上で拳を握りしめながら、彼が話し終えるまで我慢をしていた。

でも、そろそろ我慢の限界。



「――バカにしないで……ふざけた事、言わないでよ!!」


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