クローバー♧ハート - 愛する者のために -
逃がさないとでも言いたいのか、繋いだ手に力がこもる。
しかも大通りを突き進み、だんだん人通りもまばらになっていく。
どこまで行くの?それに護くん、幼稚園の方は大丈夫なの?
普段なら、この時間まだお仕事中のはず。
そんな心配をしていると、今まで真っ直ぐに歩いていた護くんが
突然角を曲がり、人通りの少ない一本入った細道に入った。
そして繋いだ手が離され、今度はギュッと強いくらいに抱きしめる。
「ま、護くん?」
「黙ってて……もう少し、このまま」
切なげな溜息が聞え、首元に熱い息がかかる。
仄かに香る、汗の匂い。早い鼓動。
きっと急いであの場所に来てくれたんだ。
私の元カレに会うのだって緊張していたはずなのに
それを感じさせない堂々とした態度で対峙してくれていた。
どうやって、あの場所を知ったのかは分からない。
だけど正直なところ、来てくれて助かった。