クローバー♧ハート - 愛する者のために -
あのまま、あの人と二人っきりだったら、どうなっていたことか。
きっともっと罵倒して、裕貴を追い詰めていたかもしれない。
そうなればプライドが高い裕貴の事だ。手が出ていても不思議はない。
あの場所から連れ出してくれた、護くん。
こんなに汗を掻くほど必死に探して――かなり心配を掛けてしまったようだ。
「心配かけて、ゴメ――」
「何考えてるんですか?!」
怒りを含んだその声に、思わず肩が震えた。
もしかして、怒ってる?
それと同時に抱きしめていた両手が肩を掴み、体を引き離して見詰める。
「ごめん、なさい……」
彼のあまりに強い視線に、それを言うのが精一杯。
普段温厚な彼からは思いもよらないほど迫力があり、顔が強張ってしまう。
「一人で裕貴さんに会うなんて、何かあったらどうするつもりだったんですか?」