クローバー♧ハート - 愛する者のために -
裕貴に会うだけだから、“何か”があるなんて考えてもない。
ただ悠を取られないように、どうにかしたかった。
ううん。私一人で、どうにかできると思った。
けれど結局、何も出来なかった……本当に何も――。
「っ……ごめんなさい」
目をギュッと瞑って俯いた。
目頭が熱い。自分がこんなにも情けなく思ったのは、あの時以来かもしれない。
裕貴に裏切られた、あの日以来だ。
「あ、スミマセン。あの、俺……心配で、つい――」
さっきまでの怒声はどこへやら。
急にオロオロとした戸惑った声に変わる。
「ううん。悪いのは全部私。護くんは、何も悪くないから。本当に、迷惑ばかり掛けてごめんなさい」
深く頭を下げて、もう一度謝る。