クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「おはようございます、はるさん」
屈託のない笑顔を浮かべながら、キッチンに顔を出す護くん。
七分丈のブラックを基調としたボーダーTシャツに
ブラックのテーラードジャケットを羽織り、ズボンはブルージーンズ。
手には少し大きめのスポーツバッグを持っていた。
動きやすい格好だけど、さり気なくオシャレをしている。
「おはよう。ちょうど今、お弁当が出来たところ」
「へぇ、どれどれ~」
そういうとキッチンの中に入って来て、私の手元を覗き込んだ。
「あ、ダメ。つまみ食い禁止」
粗熱を取るために開けていた蓋の隙間から、おかずを取り出そうとした手をピシャリと叩いて叱りつける。
すると残念そうに指を咥え上目遣いで見つめるその姿に、項垂れた耳と尻尾が目に浮かんだ。