クローバー♧ハート - 愛する者のために -
彼の小さな手に握られていたのは、子供用の野球のグラブと真っ白な軟式のボール。
「あぁ。俺とはるさんからの、六歳の誕生日プレゼントだよ。前にキャッチボールしたいって言ってたろ?」
そうだったんだ。悠、キャッチボールしかったんだ。
男の子だもんね……そういうものに、興味を持っても可笑しくないのかもしれない。
「イチにぃ、ハル。ありがとう……でも、これって高いんじゃ」
嬉しそうに笑ったのも束の間、悠は困ったように顔を歪めて私の方を見る。
どうして、自分の誕生日って日にも気を遣うんだろう。
お金のことなんて気にすること無いのに――。
「今日はお前の誕生日だろ?金の事なんて気にするな。もっと子供らしく笑ってろ」
護くんは私の言いたかったことを代弁するかのように
そういうと、悠の小さな頭をワシャワシャと掻き撫でた。
「悠。キャッチボール、しようぜ」
護くんは悠の手からボールを取ると、そのまま奥へ走り出し
手を大きく上げて合図する。