クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「ホラ、行っておいで」
躊躇しているのか、その場から動かない悠の背中を軽く押して促す。
すると振り返り、元気よく「うん!」と返事をし満面の笑みを浮かべて走り出した。
男の子はそうでなくちゃ。
母親じゃ、なかなかキャッチボールの相手は出来ないものね。
ましてや私は、運動音痴だし。言い出せなかった、ってことなのかな。
嬉しそうに護くんと、初めてのキャッチボールを楽しんでいる悠。
こんな微笑ましい光景が、ずっとこの先も見れたらいいなと思うけれど
今晩の話で、どう転ぶのか今の私には分からない。
「あ゛~もう、勘弁。ちょっと休ませてくれ」
数十分後、護くんは汗だくになりながら、芝生の上に大の字になって寝ころんだ。
「イチにぃ、体力なさすぎ」
悪態をつきながらも、護くんの隣に一緒に寝ころぶ悠。
その顔をとても幸せそうだった。