クローバー♧ハート - 愛する者のために -
嬉しそうに目をキラキラさせる悠。
そんな彼に申し訳ないけれど、私は静かに口を開いた。
「悠。ケーキを食べる前に、とっても大切な話を聞いて欲しいの」
「……何?」
私の様子に気が付いたのか、悠は真顔になって姿勢を正す。
そんな彼に戸惑い、護くんを見ると彼は無言のまま“大丈夫”と一度頷いて見せた。
「あのね……実は、悠のお父さんは生きているの」
驚いたように目を大きく見開き、私をジッと見つめる悠。
そんな彼の目を、しっかりと受け止めて私は話を続けた。
「悠の本当のお父さんは、福山裕貴っていうの。あなたも、何度か聞いたことがあるでしょ?」
「福山って……あの手紙の人?」
「そう。話せば長くなるんだけど、落ち着いて聞いてくれるかな?」
私は、裕貴に会って悠を身籠り、そしてこの町に来た理由を包み隠さず話した。
綺麗な言葉にするより、事実を言った方が良い気がしたから。
意味は分からなくても、きっと悠なら分かってくれる。
そう思いたかった――。