クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「悠。私は、騙してたつもりは――」
「黙っていたんだから、同じことだろ」
悠の言葉に、息を飲む。
何も言えない。だって、本当の事だから。
悠が怒るのも無理はない。こうなることは分かっていた。
分かっていたけれど――。
「イチにぃ、行こう」
そういうと私には視線を合わせることなく椅子を降りる。
行かないで……私を一人にしないで。
そう言いたいのに、口も体も動かない。
「はるさん。今日のところは、ここまでにしましょう。突然のことで悠もきっと混乱してるんだと思うから」
テーブルの上に置いた、冷たくなった私の手。
その手に包み込むように重ねられた護くんの手が温かい。
「ッ――護、くん」
「今日は俺のところで預かります。きっと悠も、はるさんの気持ち分かってると思います。大丈夫ですよ」