クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「はるさん、こんにちは。悠ですね、ちょっと待って下さい」
「っ、一ノ瀬センセ――」
悠を探すために、その場を離れようとした彼の腕を掴み引き留めた。
どうしても、悠に会う前に聞きたいことがあったから。
「あの。あの後……悠、大丈夫でしたか?」
「俺からも少し話をしようとしたんですけど、ずっと何かを考えてるようで、何を聞いても生返事しかしないんですよね」
何を考えているんだろう。
もしかして、裕貴に会いたいとか思っていたりするんだろうか。
『ハル、嘘つきだから一緒に居たくない。僕、福山の子になる』
そんな事を言われたら、どうしよう。
一瞬、以前見た悪夢を思い出した。
悠が私から離れていく夢。
あれが正夢になるなんて――考えたくない。