クローバー♧ハート - 愛する者のために -
聞きたくない。
彼の声も、言葉も、何もかも――。
そう思った瞬間、スマホを耳から離し通話終了を押した。
今更、何を言いに来たんだろう。
それに、番号も何処にいるのかも誰にも教えていない。
あの頃親しくしていた人たちにさえ、何も言わずにこの町に来たのに――。
よりによって、なんであの人が連絡をしてきたの?
分からない、どうして……。
「はるちゃん……あら?どうしたの。顔色が悪いわ」
「佳純さん。なんでも、ないです」
今できる精一杯の笑顔を浮かべる。
この人たちに、迷惑をかける訳にはいかない。
「そう?でも、無理はしないでね。何かあったら言って」
「ありがとうございます」