クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「あのさ……お父さんに、会ってみたい?」
私の言葉に驚いたのか、足を止めて振り向く。
悠の瞳は、何かを躊躇っているように揺らめいていた。
「……」
開きかけた口を閉じ、何も言わずにまた前を向いて歩きはじめる悠。
直ぐに返事が返ってこないという事は、少なからず会いたい気持ちがある証拠。
普段の悠なら、その気がなければ「何ソレ」と悪態をつくはずだから。
「悠には、裕貴に会う権利があるわ。会いたいなら、私に遠慮することないのよ?」
本当は会わせたくない。
けれど、私の都合を悠に押し付ける訳にはいかない。
悠がどうしたいのか。今の私は、それが一番知りたい。
「……ない」
「え?」