クローバー♧ハート - 愛する者のために -
やっぱり実の父親に会うのは、楽しみなのかもしれない。
それとも単に、初めての遊園地にワクワクしているのか。
私としては後者であって欲しい。
だけど、これで裕貴が諦めてくれれば有難い。
それに神谷さんは、これで先方の出方を見極めるとも言っていた。
「毎月会わせろ」なんて言い出して来なければいいけど――。
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七月の下旬。悠と裕貴が初めて会う日。
この日が来るまで、色んなことが頭を駆け巡って、ろくに眠れていない。
早く平凡な日常に戻りたいなぁ。
そんな事を思いながら私は悠と一緒に、アパートの前で並んで待っている。
誰を待っているかと言うと――裕貴だ。
本当は家を知られたくないから、駅前とかを提示していたんだけど
興信所を使っていた裕貴には無意味だった。
「はぁ~」
今朝から、何度目かの溜息。
あ~、この日が夢であれが良いのに――そうもいかないのが、現実。