クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「悠。元気だったぁ?会いたかった」
一ノ瀬センセの言葉が聞えなかった訳じゃない。
ただ、一刻も早く悠を抱きしめたかった。
ギュッと抱きしめて、この腕の中にあることを確かめたかった。
悠はココにいる。大丈夫、私は……大丈夫。
呪文を唱えるように、何度も自分に言い聞かす。
「ハル、どうかした?いつもと違う」
「そんなことないよ。悠、今日の晩御飯なにがいい?」
普通を装って、絵顔を浮かべる。
悠に気が付かれるわけにはいない。
こんなに小さな悠に、心配を掛けたくない。
悠には笑っていて欲しいから。
「……ハンバーグ」
私の気持ちを察してくれたのか、不本意だと言わんばかりに頬を膨らませてそっぽを向く。
もう素直じゃないんだから。でも、ありがとう。
心の中で感謝をしながら、悠の頭を撫でた。