クローバー♧ハート - 愛する者のために -

私は諦めるつもりは無い。

彼の幸せがどこにあるのか。望みは何なのか、この目で見極めるまでは――。



「分かってる……由依には、諦めるように言うつもりだ」

「ホントに?!」



思わず、手にしていたペットボトルを落としそうになった。

裕貴の横顔を見上げ、彼を見つめる。



「だからって、悠が俺の息子だって事実は変わらない。陽香、俺に認知をさせてくれ。せめて生活費とか養育費とか面倒を見させて欲しいんだ」



難い申し出だ。

悠と元の生活が出来て、尚且つ生活費までくれるなら

今までより、もっと悠のしたいこと欲しいことが叶えてあげられる。


だけどデメリットもある。認知すれば、親権を奪れやすくなるということ。

私はシングルマザーで、経済的にも裕福とは言えない。

片親だし、悠にも寂しい思いをさせているはず。

それを考えれば、裕貴は経済的にも精神的にも環境は最適だろう。

裁判で争われれば、きっと私は反論できない。

例え神谷さんに頼んだとしても、恐らく難しいだろう。

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