クローバー♧ハート - 愛する者のために -
突然、少し離れたところから呼ばれ顔を上げた。
すると声がした方から、少し焦ったように由依さんが走ってくる。
あれ、悠がいない……もしかして悠に何かあった??
「由依さん、どうかしたんですか?」
「ごめんなさい。少し目を離した隙に、悠くんが居なくなっちゃって……」
居なくなったって……嘘、迷子?!
こんな広い場所で、どうやって探せばいいの?
悠。何処にいるの?心細くて泣いていなければいいけど――。
「……行かなくちゃ」
悠の元へ――。
きっと私を探しているはずだ。
大人が多く広いこの場所で、どんな思いでいるのか考えただけで胸が締め付けられる。
「陽香、何処に行くつもりだ?」
「分からない。だけど、悠が待ってるの。私を呼んでるの!」