クローバー♧ハート - 愛する者のために -
『あーもう、分かったから僕を代わりにしないで。Honeyhouse、一緒に行ってあげるから』
迷惑そうな物言いだけど、悠の顔は嬉しそうにハニかんでいる。
彼の不器用な優しさ。それを感じて更に嬉しくなり、抱きしめる腕を強くした。
不意に、そんなやり取りを思い出した。
あ……もしかしたら、あの子――。
ふと思い浮かべた場所へ、再び足を走らせた。
もう体力なんて限界が過ぎてる。だけど、足が止まることは無い。
悠が泣いて待っていると思うと、疲れなんて感じていられない。
すぐに行くから、もう少しだけ待って……。
息をきらせながら辿り着いた場所は、琥珀色の体に赤色のジャケットを羽織ったクマの家。
昔から私が大好きな、キャラクターだ。
そこはまるで物語の中に入ったような感覚になる、ファンシーな場所。
ここのどこかに悠がいる。
確証はないけれど、私はそう確信をしていた。
――悠、何処に居るの?