クローバー♧ハート - 愛する者のために -
第四葉
ずれた歯車
沢山の家族連れの中から、六歳の息子を探すのは簡単なことじゃない。
建物の隅に一人で立っている子供はいないか、泣いている子供はいないか
どんな些細なことも見逃さないように、注意を払いながら探していく。
すると制服を着たキャストらしき女性に、声を掛けられている一人の男の子が目に止まった。
その子は、大きな風船を持って不安そうに佇んでいる。
悠にしては、小さい……違うか。
溜息を吐いて他を探そうとするものの、何故か彼から目が離せなくて
遠巻きに見ていると、その子の隣に少し背の高い男の子がいるのに気が付いた。
「悠っ!」
声を掛けると、キョロキョロと顔を左右に振り私の姿を探す悠。
そして私を見つけると、今にも泣き出しそうな顔を浮かべた。
「ぁ……ハル」
余程不安だったのか、隣にいた男の子をその場に置いて駆け寄ってくる。
その時男の子にぶつかったのか、彼が手に持っていた風船が空中に登っていった。
「悠!良かったぁ」