クローバー♧ハート - 愛する者のために -
駆け寄り抱きしめる。温かな温もりに安堵した。
やっと見つけた。遅くなってゴメンね。寂しかったよね、不安だったよね。
本当にゴメンね……でも怪我も何も無くて良かった。
安心したと同時に涙が浮かんでくる。
「ハル、ハル……」
悠もまた何度も私の名前を呼んで、しがみついてきた。
その手は、もう離さないと言っているようにしっかりと強く握られている。
きっと物凄く心細かったのだろう、私の胸に擦りつける彼の顔の辺りの服が少し冷たい。
同じく迷子になっていた子を気遣って、自分も泣きたいのに我慢していたんだと思う。
小刻みに震える体を、優しく抱き締め何度も背中を摩った。
「お母さんですか?」
男の子を連れたキャストの方が、遠慮がちに声を掛けてくる。
「はい。ご迷惑、お掛けしました」
涙を拭いて立ち上がり、深く頭を下げた。