クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「お兄ちゃん……僕もママに早く会いたい」
不安そうに、大粒の涙を零しながら訴える男の子。
きっと三歳くらいだ。親とはぐれて寂しかったところに、悠と会ったのかもしれない。
「大丈夫、会えるよ。お姉ちゃんが探してくれるから、ね」
ごしごしと目元を両手で拭い不安そうな男の子に振り返ると、いつもの悠らしく
そうでしょ、とキャストの女性に目配せした。
彼女はその視線を受け、男の子と同じ目の高さまで屈んで優しく微笑んだ。
「もちろん。すぐに会えるからね……あ、見つかったって。行こう」
「ホント?!うん、行く。じゃ、お兄ちゃんバイバイ」
イヤホンから知らせが入ったのか、マイクに向かって返事をすると
嬉しそうに笑顔を浮かべた男の子を連れて、遊園地の別のエリアへと歩いていった。
「はぁ~、本当に心臓止まるかと思ったわ。悠、なんで由依さんから離れたのよ」
それを見届け、私は屈んで悠を見つめた。
ちゃんと理由を聞かなきゃいけないと思ったから。