クローバー♧ハート - 愛する者のために -

普段から一人で行くときには必ず声を掛けなさいと、口を酸っぱくするほど言い聞かせてある。

なのに、どうして由依さんに何も言わずに言ったのか不思議でならない



「だって……クマさん見つけたから、ハルに会わせたいって思って」



あぁ、そんなことだと思った。この場所に来たこと自体、それを証明している。

きっと由依さんと一緒に居た時に、クマのキャラクターを目にしたんだろう。

それで追い掛けてきた、ということだろうか。



「だとしてもダメでしょ、一人で行っちゃ。由依さん、すごく心配してたのよ?」



焦って走ってくる由依さんの姿を思い出す。

人を心配させるなんていけないコトだ。それを悠にも、しっかり分かって貰わなきゃ。

彼の柔らかな頬をプニッと摘まんで、悪い事だと思い知らせる。



「ぼく、ひいらよ?あのひろに、いっれもいい?っれ」



え……じゃ、なんで由依さんはあの時言わなかったの?

知ってて、私に言わなかったって事だよね……それって――。

彼女への不信感が沸き起こってくる。

最初から、私への態度には気になるところはあった。

だけど自分の子供にしたいと思っている、悠に対してこんなことをするなんて――。

万が一のことがあったら、どうするつもりだったんだろう。


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