クローバー♧ハート - 愛する者のために -

やっぱり、これは彼女の仕業。知ってて私に教えなかったんだ。

もしかしたらって思っていたけど、こんなの言葉聞きたくなかった。

不安を煽ってアタフタする私を見て、面白がっていたんだろうか。

せめて悠を心配する言葉が聞けたなら、少しは安心できたのに――。



「そんなに慌てなくてもいいのに。子供なんて、放って置けばいいのよ。何かあれば、誰かが知らせてくれるわ」



――裕貴の嘘つき。

なにが、私の心配するようなことはしないよ。

悠を泣かせて、不安にさせて……一番しちゃいけないことでしょ。

それに、放って置けばいいって何?

子供を何だと思ってるの?!


パーン!!


乾いた音が園内に響き渡る。

怒りがふつふつと沸き上がり、口より手が先に動いていた。



「さっきから聞いていれば何なの!?子供を物のように言わないで!!」



彼女は呆気を取られたように、赤くなった頬に手を添えている。

しかしすぐに我に返り、鬼の形相で私を睨み付けてきた。


< 182 / 303 >

この作品をシェア

pagetop