クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「親からは、子供はまだかと周りから責められるし……挙句の果てに、お父様からは“役立たず”って言われて……」
どうにかしたくても、一人じゃどうにもできない。
きっと裕貴は忙しさにかまけて、由依さんのSOSに気が付かなかったんだろう。
長い年月が彼女を蝕み性格を歪ませ、そして裕貴のお父さんの一言が
紙一重で繋ぎとめていた彼女の理性を、壊してしまったのかもしれない。
何が正しくて、何が悪いのか正常な判断が出来ないまま
今回の行動に出てしまった、といったところだろうか。
考えるだけで、胸の奥が押し潰されそうだ。
「だから、あなたの子供を手に入れれば、裕貴は私を見てくれるようになる。お父様も私を認めて下さる。そう思ったから……なのに、なのに」
「由依?なに言って……」
今までの経緯が分からない裕貴は、目を瞬かせながら
半狂乱になって吐露する、由依さんの初めての姿に驚いている様子。
「裕貴。あなたが由依さんを、ここまで追い詰めてしまったのよ?」