クローバー♧ハート - 愛する者のために -

まだ迷っているのか、瞳が激しく揺れ動揺を隠せないでいる。

あーもう!ここまで女々しいと、ムカつく。



「嫌いよ!子供も裕貴も、みんな嫌い!!」



この人の“嫌い”は愛情の裏返し。

好きなのに、自分を正当化させるための嘘。

彼女にそこまで言わせて、いいの?!



「由依さんは、あなたの奥さんでしょ?!あんたが支えなくて、どうするの?!」

「っ!!……痛っ……陽香――」



パーンと彼の背中を思い切り叩いて、喝を入れた。

すると痛みのあまり涙を浮かべながら私の方を見たけれど

今どうすれないいのか、ようやく答えが出たようだ。

覚悟を決めたキリッとした表情で、彼女に近づくと隣に座って

そっと肩を引き寄せ抱きしめる。



「由依。ごめん……俺、由依の気持ちに気が付かなかった」

< 197 / 303 >

この作品をシェア

pagetop