クローバー♧ハート - 愛する者のために -

人と約束ごとが、こんなにも嬉しかったっけ。

最近自分の気持ちに戸惑うことばかり。

泣いたり、笑ったり、怒ったり……しかも全部、護くんの前で――。


なんで、こんなにも胸がドキドキするの?

階段を駆け上がった所為?それとも彼との約束の所為?



「んっ……ハル……」



玄関のドアにもたれ立ち尽くしていると、腕の中の悠が身を捩り小さく声を漏らした。

考えるのは後だ。早く悠を布団に寝かせなきゃ。

女としての感情より、母親としての思いが私を突き動かす。


素早く靴を脱いで、寝室へと向かう。

彼を布団に横たえて、起きないように注意しながら服を脱がしてパジャマを着せた。


どんな夢を見ているのか、幸せそうな寝顔。

彼の隣に横になって、額にかかる前髪を撫で上げる。

そういえば悠が熱を出した日も、こうして布団に寝かして添い寝したっけ。

あの時は不安しかなかったけれど、今は違うドキドキが私を迷わせてる。

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