クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「悠……私、護くんのこと好きなのかな?」
答えてくれる訳でもない。
寝ている悠に聞こえるはずのない言葉。
自分の事なのだから彼が分かるはずの無いことなのに、どうしても零れ落ちてしまった。
トントンと軽いリズムで、小さく上下する彼の胸を叩いていく。
真っ直ぐな目で見つめてくる、護くん。
彼の嘘偽りない思いは、痛いほどに感じている。
だからこそ、迷ってしまう。
年の差の事もだけど、悠の父親になって貰っていいのか。
彼には、もっと別の幸せがあるんじゃないかって――。
そりゃ「付き合う=結婚」って考えること自体、気が早いって言われればそれまでだけど
どうしても、先に待つソレを考えずにはいられない。
もし、護くんよりも年齢が若ければ……。
もし、悠が産まれて居なければ……私は、即答していただろうか。
考えてはいけない“もし”が頭の中を駆け巡る。
そんな事を考えているうちに、悠の規則正しい寝息が子守歌となり
夢の中へと引き摺られて行った。