クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「えっとね……福山裕貴、って人みたい。知り合い?」
悠の口からでた名前に、息が詰まる。
今、なんて言った?
――ふくやま、ひろき……?
一瞬、頭が真っ白になる。
だけど次の瞬間、無意識のうちに悠の両肩を掴んでいた。
「ッ……中、見てないよね!?」
ビクッと小さな肩を揺らす悠。
今、どんな顔をしているのか分からない。
だけど、こんな小さな子を怖がらせている。
このままじゃいけない、そう思うのに思考が纏まらない。
「あ、当たり前だろ。何なんだよ、その人と何があったの?」
いつもの生意気な物言い。
だけど、どこか動揺しているのが感じられた。
あぁ……こんな小さな子に、気を遣わせてる。最低だ、私――。