クローバー♧ハート - 愛する者のために -
おぉ、なかなか冷蔵庫事情を分かってらっしゃる
普段よく使う卵や牛乳は常備してあるけれど、メインになるようなお肉や魚はない。
だけどオムライスくらいなら、買い物せずとも出来そうだ。
「ちょっと待っててねぇ」と声を掛けて、冷蔵庫から玉ねぎと卵、ベーコンを手に取った。
玉ねぎは微塵切りにして、ベーコンは一㎝角に切って炒めていく。
そこへ、ご飯を投入して更に炒めて味付けは塩コショウとケチャップ。
ケチャップライスは、お皿に盛り続いて卵を焼き始める。
卵には、牛乳とマヨネーズを入れるのが平野流。
フライパンの上で、くしゅくしゅっと手早く掻き混ぜてケチャップライスに乗せた。
最後に遊び心たっぷり、卵の上にケチャップでハートを描いて
テーブルで待つ、悠の前へ――。
それを見た悠は「……ばか」と小さく毒づきつつ、スプーンで掬って頬張った。
「こら、“いただきます”は?」
「……いだらひまふ」
一瞬、面倒くさそうに眉を顰めて、口に頬張ったままそう言った。
少しお行儀は悪いけれど、まいっか。
私も手を合わせていただきますと言い、オムライスを食べ始める。