クローバー♧ハート - 愛する者のために -
もしかして神谷さんの家に行ったときの、あの言葉?
「悠……いつ、知ったの?護くんが、私のことを好きだって」
感のいい悠だから、護くんの雰囲気とか行動で気が付いたとか?
それとも、誰からか聞いたんだろうか
生唾を飲み込み、悠の言葉を待った。
「……去年の、お泊り会の時。イチにぃから聞いた」
うわぁ、そんな頃から知ってたの?
しかも去年って、悠が護くんのことを“イチにぃ”と呼び始めた頃だ。
驚きの連続で、考えが追い付かない。
「じゃ、反対しないんだ。護くんが、お父さんになっても――」
なんだか拍子抜けしてしまい、溜息交じりに椅子の背凭れに体重を掛ける。
「むしろ、そうなって欲しいって言うか……ごちそうさま。僕、お風呂の準備してくる」
チラチラと私を盗み見しながら、悠には珍しく歯切れ悪くそう言った。
そして照れた顔を隠すように、そそくさと椅子を降りてお風呂場へと姿を消していく。
その後ろ姿を私は、呆然と見つめるしか出来なかった。