クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「じゃ、もう一度言わせてください。平野陽香さん、俺と結婚を前提に付き合ってください」
抱きしめていた私を引き離し、両肩に手を置いて真っ直ぐな目で見つめる。
私は、それを逸らすことなく見つめ返した。
「本当にいいの?私で……」
「俺が欲しいのは、そんな言葉じゃありません」
見詰める瞳も、声音も凄く優しい。
嬉しくて、胸に熱いものが込み上げてきた。
今まで何度か恋してきたけれど、こんなに“愛”を感じることが出来たのは初めてかもしれない。
涙で震える声を、なんとか押し出して口を開いた。
「……はい。よろしくお願いします」
言い切ると同時に抑えきれない雫が、一つ頬に零れ落ちる。
それを、護くんが右手で掬い取ってくれた。
「――何こんなことで、抱きしめ合ってんの?恥ずかしい……」
悠の冷めた声に、二人とも一気に離れ距離をとる。
い、いつから見てたんだろう。
告白部分から聞いてたなら、かなり恥ずかしい。