クローバー♧ハート - 愛する者のために -
悠に見られないように、顔を背けながら涙を拭う。
「ッ、お帰り悠。早かったのね」
「いや、これは……その――」
しどろもどろになりながら、私たちは真っ赤になった顔を誤魔化すように
咳ばらいをしたり、手で仰いで顔の熱を冷ましたりした。
「ま、いいけど……今度こそ“良かったね”」
「うん」
私達の不思議なやり取りに、?マークが頭の上に飛び交う護くん。
そんな彼の横で、私と悠はクスクスと笑い合う。
その後は三人で水族館を巡り、キラキラと目を輝かせて魚を見詰める悠の傍で
私は、護くんと時々見つめ合ったり手を繋いだりして、何年かぶりの恋人気分を味わった。
本当に幸せ。この幸せがずっと続けばいいのに――。
幸せと共に生まれた、小さな不安。
また裕貴の時のように、崩れ去っていくのではないかと。
そのことを考えると、気持ちが沈んでしまう。
幸せなはずなのに、どうして――。