クローバー♧ハート - 愛する者のために -
第五葉
彼のヒミツ
一通り周り、イルカショーも見終わった頃には陽は傾き
空はもちろん、まわりも茜色に染まっていた。
燥ぎ過ぎたのか、悠もショーを最後まで見ることなく眠ってしまい
今では護くんに体を預けるようにして夢の中にいる。
「はるさん。どうかしましたか?」
「え?突然なに?」
驚いて隣を歩く、護くんを見上げた。
そこには困ったように、眉をさげて私を見る彼の顔。
私、気が付かない内に彼を困らせることをしでかしただろうか。
「いや。時々、不安そうにどこかをみてるから……気になることがあるのかなって思っただけ」
あ……気が付いてたんだ。
あまり考えないようにしていたのに、顔に出ていたのかな。
私の中に生まれた小さな不安は消えるどころか、どんどん大きくなっている。
この幸せは、いつか終わるときが来るのではないかと。
「あ、あのね……」