クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「なんで……嘘でしょ」
口元を手で覆って、動揺を抑える。
今さら、何で会いたいなんて言えるの?
私にした事を忘れたって言うの……ありえない。
怒りから、クシャクシャと手紙を丸め投げつけようと頭の高さに持ち上げた。
でも、そこから手を振り下ろせない。
震える手。悔しい……「バカにしないで」って叫びたい。
けれど、ここで叫ぶのは違うと思い直しギリッと奥歯を噛みしめて空を仰ぐ。
そして思いっきり息を吸って吐いて、気持ちを落ち着かせた。
ゆっくりと降ろされる腕。クシャクシャに丸められた手紙の皺を伸ばしていく。
もうあの頃の私じゃない。過去は捨て去った。
ココにいる私が全て。裕貴とはもう会わないと決めたんだ。
例え会ったとしても、何も変わらない。
私は悠と二人で生きていく。それ以上でも、以下でもない。