クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「今度は、チビすけも一緒に遊びにいらっしゃい」
どうやら、悠は神谷さんに気に入られたようだ。
こうやって少しずつ、悠の周りで人の輪が広がっていく。
そしていつか悠自身で人の輪を広めていくんだろう。
「はい。是非」
「そう言えば、護はもう君のご両親に挨拶に行ったのかい?」
神谷さんの言葉に、拓篤君が「親父、失礼だろ」っと慌てて肘で彼の脇腹をつつく。
そう言えば、護くんの話ばかりして私のことを話していなかったな。
別に隠すつもりもなかったのだけれど、言う機会が無かった。
「いえ。私の両親は、高校の時に交通事故で亡くなったので……」
「それは、すまないことを聞いた」
バツが悪そうに、頭を掻く神谷さん。
彼の隣で、拓篤くんもすまなそうに眉を下げて謝った。
「それじゃ、悠を迎えに行きますので。今日は、ありがとうございました」
もう一度頭を下げて、私は神谷家を後にした。