クローバー♧ハート - 愛する者のために -
雪降る教会で
護くんのご両親の事は分からなかったけれど
その代わり幼い頃の話を聞けたし、得した気分。
急ぐ必要はない。今まで護くんは私を待ってくれていた。
今度は私が待つ番だ。
護くんが話してもいいと思えた時に、いつでも聞けるようにしよう。
それにしても、小さい護くん可愛かったなぁ。
だんだん成長していって、運動会や発表会、入学式や卒業式。
高校に入っての文化祭。何気ない、友人との写真がたくさんあった。
どれも護くんや周りの人は笑顔だったけれど、その中で一枚だけ私が気になったものがあった。
多分、文化祭の後だろうか。
友人から離れ、校舎の屋上のような場所で一人夕陽に向かって立っているものだ。
顔は映っていないけれど、どことなくもの悲しさをその背中から感じた。
「護くん、どんな気持ちだったんだろう」
写真を見ながら、思わず呟く。
あまりにも私がジッと見つめていたから、そんなに気になるのならって
拓篤くんがくれた一枚の写真。