クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「お陰で、俺の母親を見つけられた。親父は、未だに分からない。どうやら未婚の母、だったらしくて全くそれらしき人が見つからないらしい。同じ未婚の母でも、はるさんとは大違いだね」
自嘲気味に笑って、肩を竦める。
そんな彼に、私は首を左右に振って否定した。
「そんな事ない。私は運が良かっただけ。佳純さんや護くんに会えたから。だから、こうして頑張れたの。もし出会えていなければ私も悠を手放していたか、今頃こうして生きていなかったのかも知れないわ」
実際そうだ。私は、何度も自分の命を絶とうとしたことがある。
それに今だって、経済的に余裕があるとは言えない。
この先、何があるかなんて誰にも想像できないんだから。
「あなたのお母さんも、きっと迷ったはず。我が子ほど可愛いものはないもの。それを手離すなんて、よっぽどの事情があったのよ」
「そうかな」
まだ信じられない様子。
それだけ、時間があき過ぎてしまったのかもしれない。
もう少し早く……出来れば、彼女が生きている間に会えればよかったのに。
話しが出来れば、この蟠りも少しは軽くなっただろう。
「そうよ。それに、こんなに近くに住んでいたんなら、もしかしたらあなたの成長を陰ながら見ていたのかもしれないでしょ?」