クローバー♧ハート - 愛する者のために -
エピローグ

翌年の春――。

桜が咲き誇り、真新しい制服とランドセルを背に歩く息子の姿。

卒園式の時は寂しくて涙したけれど、今日は別の涙が出そう。



「陽香さん。これ、変じゃない?」



と慌てたように私の目の前に走り出た彼は、普段は身に着けないスーツを着ていた。

ダークグレーの細身のスーツ。背の高い彼には凄く似合っている。

なにを気にしているのか、上半身を左右に捻りながら私に見せてきた。



「大丈夫。凄く似合ってるよ」

「良かった。悠の入学式だし、きちんとしなきゃって思って」



悠より、護の方が燥い出るように見える。

当の本人は、やっぱり落ち着いていて普段と変わらない様子。


小学校の正門に近づくと、沢山の新入生が入っていくのが見えた。

ここから、また悠の新たな学校生活が始まるんだ。

緊張してないかな?大丈夫かな?

悠以上にソワソワしてしまう。

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