クローバー♧ハート - 愛する者のために -
悠はそう言うと、水色の可愛い封筒を私に押し付け
小走りで走り去ってしまった。
「なに、それ」
護は後ろから顔を覗かせ、私の手元を見る。
「さぁ。何だろう」
普段こんなことする子じゃないのに、不思議に思いながら封筒を開けた。
すると中に入っていたのは、短い手紙と一枚の栞。
二つ折りにされた手紙を開くと
『たんじょうび、おめでとう。ちょっと早いけど、プレゼントあげる』
と決して綺麗とはいえないけれど、気持ちのこもった文字で書かれていた。
悠、覚えていてくれたんだ。今月の二十三日は、私の誕生日。
まだ二週間も早いけれど、覚えてくれただけでも嬉しい。
プレゼントって何だろう。
一緒に入っていた栞を裏返すと、それは四葉のクローバーを押し花にしたものだった。
いつの間に、こんなものを用意していたんだろう。
私に知られないように、河川敷などで一生懸命クローバーを探してる
悠の姿思い浮かべるだけで、頬が緩む。