クローバー♧ハート - 愛する者のために -

でもきっと、悠には分かるはず。私が悠を“くん”付けで呼ぶときは、私が怒っているときだけだから。



「あー、はいはい。ごめんって。それより、本当に一人で大丈夫?」



考えてみれば、悠と丸々一日会わないのなんて一年ぶりだよね。

去年のお泊り会の以来だ。

ちょっと寂しい気はするけど大丈夫。

その日は夜勤とまではいかないけど、夜まで仕事が入ってる。

余計なこと、考える暇なんてきっと無い。



「当たり前でしょ。それにその日は仕事で遅くなるから、悠がお泊りしてくれないと困っちゃうんだ」

「……なら、行く」



まだ半信半疑ってところだろうか。

でも仕事があるのは本当のことだ。

去年も、悠がお泊り会の日は夜勤にしてもらうか残業を増やしてもらって、少しでも生活費の足しに出来るようにしていた。

今年も佳純さんに頼むつもりだ。だから、嘘は言ってない。

それに少しでも、子供らしく過ごして欲しいと思う。

同じ年頃の子たちといれば、きっと悠は歳相応の笑顔を浮かべてくれるから。

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