クローバー♧ハート - 愛する者のために -

体育館に付くと、既に先に来ていた父兄の人達で半分近く埋まっていた。

私達は人を縫うようにして空いた席に着き式が始めるのを

今か今かとソワソワしながら待つ。



「緊張するね」



初めての入学式で、護も緊張している様子。

さっきからキョロキョロ周りを見渡していて、落ち着きがない。



「落ち着いて。もうすぐ、悠たちが入ってくるから」



周りに聞こえないように彼に近づいて小声で話す。

ここまで落ち着かないと、ちょっと恥ずかしい。


そんなことを話していると、悠の先輩にあたる在校生たちが入りはじめ席に着いていく。

そしてヴィヴァルディヴァイオリン協奏曲四季「春」が流れはじめ

その曲に合わせて、悠たち新入生が胸に花を付けて、列をなして入ってきた。

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